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はじめに
私たちが生活していると、必ず発生するものがあります。それが「廃棄物」です。
家庭から出るごみ、飲食店から出る食品残さ、工場から出る製造くず、建設現場から出る木くずやがれき類など、廃棄物にはさまざまな種類があります。
普段は何気なく捨てているものでも、それを集め、運び、分別し、適切な方法で処理する人たちがいます。それが廃棄物処理に携わる仕事です。
廃棄物処理は、社会にとって欠かすことのできない仕事です。しかし、実際に現場で働いてみると、決して簡単な仕事ではありません。
今回は、廃棄物処理の仕事に長く携わってきたからこそ分かる「大変なところ」に焦点を当ててみたいと思います。
1.まず大変なのは「廃棄物を見分けること」
見た目だけでは判断できない
廃棄物処理で最初に難しいのが、廃棄物の種類を正しく判断することです。
一見すると同じように見える物でも、材質や発生した場所、処理方法によって扱いが変わることがあります。
例えば、同じ「木」に見えるものでも、建設現場から出た木くずなのか、事業所から出たものなのか、他の物が混ざっているのかによって、確認すべき内容が変わります。
「これは燃えるから燃やせばいい」という単純な話ではありません。
廃棄物処理では、何が入っているのか、どこから出たのか、どのような状態なのかを確認する必要があります。
分別が悪いと後の作業が増える
本来分けておくべき廃棄物が一緒になっていると、処理施設に運んだ後に選別作業が必要になる場合があります。
現場で少し分別を怠っただけでも、その後の作業員が大きな負担を背負うことになります。
廃棄物処理では「捨てる前の分別」が非常に重要なのです。
2.収集運搬は体力だけではできない
車両を動かすだけの仕事ではない
廃棄物の収集運搬というと、「トラックでごみを運ぶ仕事」と思われがちです。
しかし、実際には車両を運転するだけではありません。
荷物の状態を確認し、積み込み場所まで移動し、安全に積み込み、荷崩れがないように注意しながら運搬します。
さらに、現場によっては狭い道路や住宅地、工場の敷地内など、運転に気を使う場所もあります。
大型車両になるほど、周囲の安全確認も重要になります。
天候に左右される
廃棄物の仕事は屋外作業も多いため、天候の影響を受けます。
夏は非常に暑く、冬は厳しい寒さの中で作業することがあります。
雨の日には足元が悪くなり、雪の日には車両の運転にも細心の注意が必要です。
「今日は天気が悪いから仕事を休む」というわけにはいきません。
社会を止めないために、悪天候でも作業しなければならない場面があります。
3.一番怖いのは「何が入っているか分からない廃棄物」
見えない危険が潜んでいる
廃棄物処理の現場では、外から見ただけでは中身が分からないものを扱うことがあります。
袋の中や荷台の奥に何が入っているのか、開けてみなければ分からない場合もあります。
その中に尖った金属やガラス片などが入っていれば、作業中のけがにつながる可能性があります。
また、廃棄物の種類によっては、火災や有害物質などへの注意も必要になります。
「知らなかった」では済まされない
現場では、「そんなものが入っているとは思わなかった」ということがあります。
しかし、事故が起きてしまえば、知らなかったでは済まない場合があります。
そのため、作業員は廃棄物の状態を確認しながら慎重に作業しなければなりません。
廃棄物処理の仕事は、目に見えるものだけを扱っているわけではないのです。
4.法律やルールを理解する必要がある
廃棄物には決められたルールがある
廃棄物処理が難しい理由の一つに、法律や制度があります。
廃棄物は、単純に「処理施設へ持っていけば終わり」というものではありません。
排出事業者、収集運搬業者、処分業者など、それぞれの立場によって責任や役割があります。
また、廃棄物の種類によって必要な許可や処理方法が異なる場合もあります。
書類の管理も重要
現場作業だけではなく、契約書やマニフェストなどの書類を適切に管理することも重要です。
一つの仕事を完了させるために、現場作業と事務作業の両方が必要になります。
つまり、廃棄物処理は「体を使う仕事」であると同時に、「頭を使う仕事」でもあります。
5.時間との戦いになることもある
現場には予定がある
廃棄物の収集には、それぞれ予定があります。
工事現場であれば、工事の進み具合に合わせて廃棄物を搬出しなければなりません。
工場であれば、製造を止めないために決められた時間に回収する必要があります。
回収が遅れれば、相手の仕事にも影響を与える可能性があります。
車両トラブルも避けられない
廃棄物を運ぶ車両は、毎日のように使用されます。
走行距離が増えれば、当然ながら車両の点検や整備も必要になります。
突然の故障が起きれば、予定していた回収に行けなくなることもあります。
そのため、廃棄物処理会社にとって車両管理は非常に重要です。
6.人とのコミュニケーションも大切
現場ではさまざまな人と関わる
廃棄物処理の仕事は、意外に人との関わりが多い仕事です。
排出事業者、現場監督、工場担当者、運転手、処理施設の作業員など、多くの人と連携して仕事を進めます。
「いつ回収するのか」「何を回収するのか」「どこに置いてあるのか」といった情報が正確に伝わらなければ、作業がうまく進みません。
信頼関係が仕事を支える
廃棄物処理では、一度取引を始めると長く付き合う会社も少なくありません。
だからこそ、料金だけではなく、約束を守ること、時間を守ること、きちんと説明することが大切です。
廃棄物を適切に処理することはもちろんですが、「この会社なら任せられる」と思ってもらうことも仕事の一部なのです。
7.事故を起こさないための緊張感
慣れが危険につながる
長く仕事をしている人ほど、経験があります。
経験は大きな武器ですが、一方で「いつもやっているから大丈夫」という気持ちが生まれることもあります。
しかし、廃棄物処理の現場では、ほんの少しの油断が事故につながる可能性があります。
車両の周囲を確認する。
荷物の状態を見る。
作業場所の足元を確認する。
機械を使用するときには安全装置を確認する。
こうした基本的なことを毎回繰り返す必要があります。
安全に関しては「慣れているから大丈夫」という考え方が一番危険なのです。
8.「汚い仕事」と言われることもある
見えないところで社会を支える
廃棄物処理の仕事には、汚れや臭いを避けられない作業もあります。
そのため、世間から「大変そう」「汚い仕事」というイメージを持たれることがあります。
しかし、考えてみれば、廃棄物を誰も処理しなければ、私たちの生活はすぐに成り立たなくなります。
街をきれいに保ち、工場を動かし、建設現場を進めるためにも、廃棄物処理は必要です。
目立つ仕事ではありません。
それでも、誰かがやらなければならない仕事なのです。
9.廃棄物処理は「責任の仕事」
廃棄物処理の大変さを一言で表すなら、「責任が重い仕事」だと言えるでしょう。
預かった廃棄物を適切に扱う。
決められた場所へ運ぶ。
適正な方法で処理する。
必要な書類を管理する。
事故を起こさない。
そして、最後まで責任を持って仕事を完了させる。
一つひとつは当たり前のように見えますが、毎日確実に続けることは簡単ではありません。
廃棄物処理は、ただ不要になった物を運ぶ仕事ではありません。
社会の中で発生した廃棄物を、次の段階へ安全につなぐ仕事なのです。
10.それでも、この仕事を続ける理由
ここまで廃棄物処理の大変な部分を紹介してきました。
体力も必要です。
知識も必要です。
法律やルールも覚えなければなりません。
安全にも気を配らなければなりません。
天候や車両トラブルなど、予定通りにいかないこともあります。
それでも、この仕事を長く続けている人がいます。
その理由は、「必要とされている仕事」だからではないでしょうか。
自分たちが回収した廃棄物によって、現場がきれいになり、工場が動き、建物の工事が進み、街の環境が守られていく。
目立つ仕事ではなくても、自分たちの仕事が社会のどこかを支えている。
そこに、この仕事の大きな価値があります。
おわりに
廃棄物処理は、外から見るだけでは分からない大変さがあります。
重い物を扱うこと、暑さや寒さの中で働くこと、危険物に注意すること、車両を安全に運行すること、法律や書類を管理すること。
さまざまな負担を抱えながら、毎日の仕事を確実にこなしています。
そして何より大切なのは、「廃棄物を適切に処理する」という責任です。
普段、私たちはごみを出した後、その先について考えることはあまりありません。
しかし、そのごみの先には、収集する人、運ぶ人、選別する人、処理する人など、多くの人の仕事があります。
廃棄物処理の大変さを知ることは、決して廃棄物業界で働く人だけのためではありません。
自分たちが出している廃棄物について考え、分別や排出方法を見直すきっかけにもなります。
「捨てれば終わり」ではなく、「捨てた後にも仕事が続いている」。
そのことを少しでも多くの人に知ってもらうことが、廃棄物処理という仕事への理解につながるのではないでしょうか。