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企業が事業を行っていると、必ずと言っていいほど発生するのが「廃棄物」です。
工場で製品を作れば、製造工程から廃材や不要な材料が出ます。オフィスでも、書類や段ボール、使用済みの備品などが発生します。店舗や建設現場などでも、それぞれの事業に応じたさまざまな廃棄物が発生します。
多くの企業にとって、廃棄物は「不要になったもの」「処分しなければならないもの」という認識になりやすいのではないでしょうか。
しかし、廃棄物を扱う専門業者から見ると、廃棄物は単純に「捨てるもの」ではありません。
そこには、法律、分別、処理方法、運搬、リサイクル、処分先など、さまざまな視点があります。
今回は、企業が考える「廃棄物処理」と、廃棄物処理を専門に行う業者が考える「廃棄物処理」の違いについて、できるだけ分かりやすくご紹介します。
企業から見た廃棄物処理
「不要になったものを処分する」という考え方
企業側からすると、廃棄物処理は本来の事業とは異なる業務であることが多いものです。
例えば、製造業であれば「製品を作ること」、建設会社であれば「建物を建てること」、飲食店であれば「料理やサービスを提供すること」が本来の仕事です。
そのため、廃棄物が発生すると、
「これはどこに捨てればいいのだろう?」
「業者に回収してもらえばいい」
「できるだけ処理費用を安くしたい」
と考えることが一般的です。
もちろん、処理費用を抑えることは企業にとって大切なことです。
しかし、廃棄物処理では「安ければいい」というわけにはいきません。
廃棄物の種類や性状によって、必要な処理方法や委託先が異なるためです。
廃棄物は「全部同じ」ではない
廃棄物処理にあまり馴染みのない方からすると、「ゴミはゴミ」と考えてしまうかもしれません。
ところが、廃棄物処理の世界では、何が捨てられているのかによって扱いが大きく変わります。
例えば、金属くず、廃プラスチック類、木くず、がれき類など、廃棄物にはさまざまな種類があります。
さらに、同じように見えるものでも、混ざっているものや状態によって処理方法が変わる場合があります。
つまり、企業側から見れば「不要なもの」であっても、専門業者から見ると「種類や状態を確認しなければならないもの」なのです。
専門業者から見た廃棄物処理
廃棄物は「処理工程の入口」
廃棄物処理の専門業者は、廃棄物をただ回収して捨てているわけではありません。
まず、「これは何なのか」「どのような状態なのか」「どのように処理する必要があるのか」というところから考えます。
例えば、同じ金属でも、他の素材が付着しているのか、分別されているのか、リサイクルが可能なのかによって、その後の工程が変わることがあります。
そのため専門業者にとって、廃棄物の受け入れは「処分の終わり」ではなく、「処理のスタート」です。
「捨てる」よりも「どう処理するか」が重要
企業側では「この廃棄物を持っていってほしい」という依頼になることがあります。
一方、専門業者は、
「どのような廃棄物なのか」
「どのような処理が適切なのか」
「再資源化できるものはないか」
「安全に運搬・処理できるか」
といった点を確認します。
つまり、企業側が「処分」という一つの作業として考えるのに対し、専門業者は「回収→運搬→選別→中間処理→再資源化・最終処分」といった一連の流れとして考えているのです。
「費用」の見方にも違いがある
企業は「処理費用」として考える
企業にとって廃棄物処理費用は、事業を行うために必要なコストの一つです。
そのため、複数の業者から見積もりを取り、できるだけ安く処理したいと考えるのは自然なことです。
しかし、見積金額だけを比較すると、本当に必要な処理内容が見えにくくなることがあります。
専門業者は「処理に必要な工程」から費用を考える
専門業者は、廃棄物の種類や量だけでなく、回収に必要な車両、作業員、積み込み作業、運搬距離、選別作業、処理方法など、さまざまな要素を考慮して費用を算出します。
例えば、同じ「1トンの廃棄物」であっても、現場で簡単に積み込めるものと、人の手で細かく分別・積み込みをしなければならないものでは、必要な作業が大きく異なります。
そのため、廃棄物処理費用は単純に「量」だけでは決まらないのです。
実は重要な「分別」という考え方
分別は処理費用にも影響する
廃棄物処理において、非常に重要なのが「分別」です。
例えば、金属、プラスチック、木材などを最初から適切に分けておけば、それぞれの特性に応じた処理や再資源化につなげやすくなります。
反対に、さまざまな廃棄物が混ざっていると、専門業者側で追加の選別作業が必要になる場合があります。
企業側からすると、「全部まとめて回収してもらった方が楽」と感じるかもしれません。
しかし専門業者から見ると、「現場でどれだけ分別されているか」は、その後の処理に大きく関係する重要なポイントなのです。
分別は「環境」にもつながっている
分別は単に処理費用を抑えるためだけのものではありません。
再利用・再資源化できるものを適切に分けることで、資源として活用できる可能性があります。
「捨てるものを減らす」という考え方から、「使えるものをできるだけ資源として戻す」という考え方へ。
これは、これからの廃棄物処理を考えるうえで、非常に重要な視点です。
企業と専門業者が一緒に考えることが大切
廃棄物処理は「業者に任せれば終わり」ではない
廃棄物処理を専門業者に依頼すれば、企業側の役割がすべてなくなるわけではありません。
企業には、排出した廃棄物を適切に管理し、必要な契約や書類などを確認したうえで処理を委託することが求められます。
一方、専門業者には、許可や契約内容などに応じて適切な収集運搬・処分を行うことが求められます。
つまり、適切な廃棄物処理は、企業と専門業者の双方がそれぞれの役割を理解することで成り立っています。
「何を出すか」を企業側が伝えることも重要
専門業者に相談するときには、
「何が出るのか」
「どのくらいの量なのか」
「どのくらいの頻度で発生するのか」
「どのような状態なのか」
などをできるだけ正確に伝えることが大切です。
専門業者側も、その情報をもとに適切な処理方法や回収方法を検討できます。
分からないことがあれば、自己判断せずに専門業者へ相談することも一つの方法です。
廃棄物は「ゴミ」ではなく「事業活動の結果」と考える
企業にとって廃棄物は、事業活動を行う中で必ず発生するものです。
だからこそ、「出てしまったゴミをどう処分するか」だけではなく、「どうすれば廃棄物を減らせるのか」「どうすれば資源として活用できるのか」という視点も重要になってきます。
専門業者は、日々さまざまな廃棄物を取り扱っています。
その経験から、排出された廃棄物の種類や状態を確認し、適切な処理方法を考えています。
企業側から見ると「不要になったもの」。
専門業者から見ると「適切な処理が必要なもの」。
そして、その先には「再利用できるもの」「資源として活用できるもの」「適切に処分しなければならないもの」があります。
この違いを知るだけでも、廃棄物処理に対する見方は大きく変わるのではないでしょうか。
まとめ
企業と廃棄物処理の専門業者では、同じ廃棄物を見ても、その捉え方には違いがあります。
企業側は「不要になったものを処分する」という視点になりやすい一方、専門業者は「廃棄物の種類や状態を確認し、適切な方法で処理・再資源化する」という視点で廃棄物を見ています。
この違いは、どちらが正しいというものではありません。
企業には本来の事業があり、専門業者には廃棄物を適切に処理するという専門的な役割があります。
だからこそ、企業と専門業者がお互いの立場や考え方を理解することが、より適切で効率的な廃棄物処理につながります。
「捨てる」という言葉だけでは見えない、廃棄物処理のさまざまな工程。
普段何気なく出している廃棄物も、その先では多くの人や設備、そして専門的な知識によって処理されています。
これからの廃棄物処理は、「いかに捨てるか」ではなく、「いかに適切に処理し、できるものは資源として活用するか」という視点が、ますます重要になっていくのではないでしょうか。